上杉謙信の隠し湯とも呼ばれた関温泉。妙高戸隠連山国立公園内にあるこの温泉街で、ささやかな湯治をしてきました。「源泉かけ流し宣言」のスローガンのもと、赤茶色した温泉はややぬるめで赤ちゃんの肌にも影響のない優しい泉質。
40℃ちょい超えのアチアチお湯が好きな僕にはちょっと物足りないかも、とよぎりましたが、肌からじんわり浸透し内蔵がほくほくと温まってくるのがわかりました。やさしい泉質。何度入っても湯疲れしません。
長い時間浸かっていても体に負担が少ない温泉というのは物思いにふけるのにちょうどよく、貴重な時間を過ごせた気がします。自分のことを考える時間。働き盛り、まだまだスキルアップしなければならない年齢でありつつも、コナレてきた部分ができたことも事実で、惰性で過ごすことに慣れている感もある。仕事を進める中で毎日はただ過ぎてしまい、日常に刺激を与える布石とも呼べる楽しみな予定もこの2年で打ち出せなくなってしまっていた。ああなんだか斜陽のような書きぶりだ。
きみたちはどう生きるか。
米は力だ。朝食は活力だ。
宿の朝食が素晴らしかったです。シンプルこそ本質。京都で修行してきた旦那さんが作ってくれる食事はセンスが輝いていました。大ぶりのイワシは香り高くて美味。上越人でもなかなか口にできない幻の矢代米のごはんは艷やかで甘みがありました。織部焼を使うのも本当にセンス良い。普段使いで良さが引き立ちます。
高いお宿はたくさんあって、そういうところで過ごす非日常感も大好きなのですが、今回泊ったお宿のような限られた予算の中で美味しいとか嬉しいとかを提供してくれる場所は貴重なんですよね。温泉も食事も、体の内側から整った素晴らしい一日でした。
ちょうど1年前、湯治旅がしたいと温泉宿を予約したものの仕事が入ってしまいキャンセルした苦い思い出も供養できた気がします。そんな旅でした。