よねろぐ!

新潟県上越市で活動中のサポートドラマー。音楽から超どうでも良いことまで幅広くカバー。美味しいものはすこしだけ。

牛(日記218)

少し前に長野に行った。

上越から国道18号を何も考えずにまっすぐ南へ、道の駅あらいを過ぎ中郷か妙高の「そろそろかな」と思う頃に上信越道へ乗り、また何も考えずに東京方面へ上っていくと信州中野が見えてくる。信州の文字に「おお、長野だ」と思った束の間、野菜市場で賑わう小布施PAを過ぎた頃にまた「そろそろかな」と思い始める。須坂長野東ICで降りてもいいし、もう少し行って長野ICで降りてもいいし、と迷いつついつも長野ICで降りて千曲川犀川に古戦場の思いを馳せ、長野駅を過ぎ、県庁や信州大学の横を通ると今回の目的地、善光寺に着く。

牛に引かれて善光寺参り、の牛。面構えが良い。

長野駅方面から来ると駐車場があまりないので、あえてぐるっと回って善光寺の裏側(戸隠側)の大きな駐車場に停めるか、仲見世通りの裏側、オシャレな造り酒屋の駐車場に停めるのが自分的にベストだと思っている。造り酒屋の駐車場はもちろん有料だが、少しお土産を買うとかえって安く上がるので我が家では数年前からこうしている。ここのもろみ味噌が手頃で結構うまい。

連休の行楽、といえば幼少の頃から善光寺や戸隠に連れていかれていた。上越から見る長野方面、妙高、戸隠、善光寺野尻湖。この辺は思い出いっぱいで成人してからも何度も訪れているし、日帰りのドライブにちょうど良いルートで安上がりな観光気分を味わえるため多分これからも来続けると思う。が、ここ3年は新型コロナウイルスの影響で来れずじまいであった。

久しぶりの善光寺はやはり賑わっていたし、仲見世の店舗もだいぶ入れ替わっていたように感じた。本当に中身が入れ替わっていたのか、古い店が一念発起してリノベーションを進めたのかわからないが、オシャレでありながら景観を守るようなデザイン性に富んだ作りの店が増えていた。

甘味、というよりスイーツ系のお店が増え、昔ながらのおやき屋が減った気がする。一番のお気に入りだったおやき屋さえリノベーションされ、品数が減った気がした。が、大好物の野沢菜が入ったおやきとなす味噌のおやきはまだ売られていた。鉄板に引かれた油を吸って少しこってりと焼かれ、やや甘めな味付けの野沢菜、なす味噌。うまいのだ。これがなければ善光寺に来た意味が霞んでしまう。多分、僕の中では離乳食が終わった当時から好きな食べ物でここ30年は好きな味だ。

「身体の悪いところを撫でると治る」と信じられているびんずる様にも久しぶりに会えた。(本当はしゃもじで撫でて、それを使ってご飯を食べると良くなるという話もある)びんずる様は今年盗難に遭ってしまい、あわや山に埋められる直前で発見されたという。罰当たりな人間もいるもんだなあと思うに留めていたのだが、久しぶりに見たびんずる様は顔がのっぺらぼうになるくらい数多の人に撫でられていた。目とか首とかお腹とか、参拝した人はこうも病を抱えているのかと感慨深くなったと同時に、こんなびんずる様を盗み出した犯人への怒りも浮かんできたが、善光寺本堂に入るころにはそれも消えていた。

ひとしきり観光を楽しんだ後、びんずる様ののっぺらぼう顔を思い出しつつ上越に戻ってくるころには「やっぱ犯人、罰当たりだわ」って思った。