よねろぐ!

新潟県上越市で活動中のサポートドラマー。音楽から超どうでも良いことまで幅広くカバー。美味しいものはすこしだけ。

十日町、という町(日記202)

十日町が特別な場所になってから何年経ったか。

交通事故で若くして亡くなってしまった友人を弔う気持ちと供える花を持って、毎年8月の彼の命日には十日町に行っています。

しばらくは車で行っていたのですが、十日町駅から目的地まで案外近いことが判明した昨年と同様に、今年も電車で行ってきました。

 

上越市から十日町駅へ向かうにはえちごトキめき鉄道で直江津駅へ出、ほくほく線に乗り換えてから40分くらい。僕は高田駅から乗るので乗り換えの時間を入れても1時間ほどで到着できます。電車に揺られることが滅多にない田舎に住む僕にとって、ちょうどよい小旅行気分を味わえる絶妙な時間。

途中の浦川原や虫川大杉を過ぎたほくほく大島、松代のあたりからトンネルが長く感じますが、抜けた先の広く大きい信濃川の景色は結構気に入っています。

石材資源で有名な十日町らしく、瀬とも淵とも言えない青々とした流水面の両岸は広く、白光りした石で敷き詰められており目を見張るほど美しい。

澄んだ夏の空に良く合う景色です。

十日町の駅はちょっと特殊な構造で、国道側、雁木の商店街がある方が「JR十日町駅」(東口)、信濃川側の新しい駅舎に市役所の観光窓口が併設されている方が「ほくほく線十日町駅」(西口)となっており、それぞれの駅は線路の下を通る地下道によって連絡されているため、一旦駅を出なければ行けません。

そんな不器用さも愛したくなるくらい、この芸術の街は市外の人間をとても快く迎え入れてくれます。

 

今年は少しミラクルな出会いがありました。

昨年同様、高田で買った花束を持ち十日町へ。駅前でタクシーを拾い、目的地を伝えようとした時、

「妻有(つまり)大橋の先すよね。去年も。」と運転手さんから声をかけられた。ちょうど一年前、こちら側の諸々の事情を聞いてくれて目的地へ乗せていってくれた、同じ運転手さんでした。覚えていてくれたようです。

花を添え手を合わせている間、近くの待避所で待っていてもらう。今年もよく晴れて、暑かった。

 

帰りの車中。僕が指定した待避所よりもう少し近いところに良い場所があるという運転手さんの助言もあって「来年はその作戦で行きましょう」と、一年後の予定も立ったところでお別れとなりました。始終、運転手さんは去年と同じように寡黙でしたが、気持ちを汲んでくれていたのかもしれません。

 

帰りの電車を待つ間、十日町駅前のお店で冷たいビールを飲みながら来年も晴れたらいいなと思いました。