よねろぐ!

新潟県上越市で活動中のサポートドラマー。音楽から超どうでも良いことまで幅広くカバー。美味しいものはすこしだけ。

月に相照らす骨の白さに溺れて(日記144)

中秋の名月だそうです。我が新潟県の誇る田園風景の景色が変わってまいりました。稲刈りが進み、畦の所々に彼岸花が咲いてきました。

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 こういった情景で思い起こされるのは陰陽座の「夜歩き骨牡丹」

生前醜いと蔑まれた女が、死後自らの骸骨の容姿が良いことに気づき、骨だけの姿で街を歩く。そんな妖怪めいた女性の性が伺える物語「骨女」を題材にした、ギターの和音階が美しい、少し物哀しい曲です。それでいてリズムは少しハネている。月に相照らす、骨の白さに溺れて。

彼岸花といえば埼玉県日高市巾着田が有名です。7年位前になりますか、彼岸花が終わったくらいのオフシーズンに訪れたことがあります。高麗川の瀬が近く水車が回り、いい具合に親水公園となっていて、ぐるりと巾着の形をした平地が見て取れました。近くの馬屋でサラブレッドに触れさせていただき、日和山を登った記憶があります。

この高麗川という名前、高麗という地名は古代韓国の王族が流れついた地で、日高市鶴ヶ島市の周辺は高麗郡と呼ばれています。600年代の朝鮮半島、唐と新羅に滅ぼされた高句麗からの帰化人に与えられた土地で、この王族を祀っている高麗神社があります。

別の呼び方を奥武蔵。高麗郡から秩父、飯能、入間、日高のこの周辺の独特な民族性というか、ちょっと不気味なイメージを持ったのは秩父神社へ行ったときの土着の信仰のようなものを感じたからです。少なくとも、新潟県や長野県の山間部とはかなり違った感覚があります。

その理由は多分、戦国時代がぽっかり抜けていて鎌倉時代南北朝時代の風習がそのまま残っているのが影響しているのかもしれない。なんなら武甲山由来の巨石信仰が縄文時代から続いているのかもしれない。日本古来、という文字が当てはまる。オオカミ信仰もあるらしい。

とにかく、この埼玉県、奥武蔵のちょっと現代とは違う香りはなんだか不思議です。山と川と自然と、条件は長野県と似てるのに、なにか商売っ気がないというか観光っ気がないというか、裏返すと何かを守っているような雰囲気がある土地なのです。

そうそう、この武甲山周辺にわらじカツ丼のお店が何店舗かあって、安田屋さんというお店で食べたのですが美味しかったです。新潟のタレカツ丼みたいなこってりとした甘みではなく、出汁と醤油と、ふっくら揚げられたカツはとてもおいしかった。

それにしても、学生の頃に行った秩父の夜祭はとても活気があって面白かった。人間界と妖怪の世界がひっくり返って、自分は百鬼夜行に紛れ込んでしまったのではないかと錯覚するくらい、非日常を味わえました。夜に乗じたお祭りの特別感はぜひ体験してほしいと思います。