消さないで、離さないで。残しておいて、その想いを。
「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」見てきました。クレしん映画の中でも指折りの素晴らしい出来でした。僕は歴代最高映画だと思います。
友情、家族愛、リアリティー、社会性、感動、ギャグ、出会い、別れ。全年齢層が見るクレしん映画に「その人がグッと来るポイント」がたくさん、魔法のように織り込まれていて、誰が見ても楽しめるを実現した映画でした。
アルマゲドンで2回泣いた僕。ラクガキングダムでは5回泣きました。
絶対にまとまらないから箇条書きにする。
・「その人がぐっと来るポイント」がたくさん描かれている
最初にこれを言わせてくれ。自衛隊の装備がガチ。春日部封鎖している自衛官が抜身で小銃を装備していないけど、大きいソフトカバーに包まれたなにかを装備していた。民間人への配慮で、多分本物の自衛官もこういう対応すると思う。安い邦画なら絶対に小銃を抱えて横一列になってるでしょ。自衛官の服装も、襟付きの防弾チョッキは多分3型だし、戦車装甲車の陸送シーンはまじで震えた。パトレイバーのそれに近い。
調べみたら監督の京極さんは「GATE」の監督さんだった。素晴らしい。
僕はバイクに全く詳しくないんだけど、ぶりぶりざえもんが乗ってたバイクのマフラーが火を吹いているシーンも惹きつける技が光っていた。これは子供と一緒に見に来たお父さんが喜ぶわ。ユウマくんママが乗ってた車は現行のエクストレイルだったと思う。これも乗ってる人には嬉しいポイントだよね。
・ターゲットは僕らの世代
昭和60年代~平成ヒトケタ生まれの僕ら世代を狙い撃ちしてるとしか思えないんです。僕ら世代は子供の頃からTV版クレしんを見て、クレしん映画を見て育ってきた。いつしか大人になってアニメを見なくなって、社会人になって、結婚して子供ができて。辛いこと楽しいこと色々経験して。自分の子供と久しぶりにクレしん映画を見に来た僕ら世代はこの映画で感動しないわけがないんです。自分の成長と比較せずにはいられない。
きっと忘れてしまった大事なことを必ず思い出せると思います。
・しんちゃんの周りにいる良いオトナ、良い親
ひまわり組のよしなが先生、ひろし、みさえ、ななこお姉さん、しのぶちゃん、ユウマくんママ。みんな素晴らしい大人ばかりで感動しました。みさえがもとに戻ったときの動き、ひろしがココノカドーのフードコートに連れてこられたときの第一声。子供を第一に考えて、しっかり守る、戦うというオトナとしての当たり前。親の愛を感じずにはいられないです。春日部の大人たちも最初は逃げて、誰かのせいにしていたけど、子どもたちに連れられて最後は協力してました。このだんだん、「おれも」「やってやろう」ってだんだん増えていく描写がなんかリアルでした。
・しんちゃんの名セリフ、更新
しんちゃんの名セリフはいろいろあるけど、僕の中では戦国大作戦で出た「お前、逃げるのか」がトップでした。今回、更新。しんちゃんいい子なのよ。本当に。
・感動とギャグの魔術師
パンツね。しんちゃんの歴代最強セリフからのスーパーギャグシーンね。こっちの感情ぐしゃぐしゃだよ。最大の感動と最大の笑いをワンテンポずらしてもってくるの本当に京極さん天才だと思う。
・その他
きゃりー声優うまくて笑った。最初誰かと思った。りんごちゃんもうまかった。
多分この感覚僕だけだと思うんだけど、ラクガキングダム防衛大臣の暴走が最近の中国における指導者のそれにちょっと見えてしまった。自由なラクガキにパワーがあるのに描かせることを強制して、本当の目的を失ってしまう姿がなんか社会主義っぽい。そんなことないかなぁ。
最初はラクガキっていうファンシーでちょっとダサいモノに対して、背景風景の自然描写がめちゃめちゃキレイでそういう対比で来るかなと思ったけど、「ラクガキの自主性とか創造性とか、自由な発想が大事!」の一本で勝負してきてその奥深さにおののいた。
曲が壮大でした。冒頭8分の動画が公式で公開されてるけど、大河ドラマっぽいというか信長の野望っぽいというか、とても爽快で重厚でかっこいいオーケストラ曲。ラクガキのファンシーさに反して、キングダムの重大さうまく表現してると思います。こういうところも天才。
あとは劇中の重要アイテムの説明とか効果とか、その辺がわかりやすくてスッキリしていたしテンポもものすごく良い。子供向けの良さを最大に発揮してました。僕31歳だけどこれくらいわかりやすくないと途中で飽きてしまうの。
レキシの曲めっちゃいい。ポップでちょっと悲しくて、懐かしい。このストーリーが伝えたいことをよく理解してるレキシさん天才。
ニセななこお姉さん、好きよ。
ぶたのヒヅメのエンディングとちょっと被ったけどぶりぶりざえもんが出る映画に外れないよね。今回もとても重要なキャラです。最後だけじゃなく。てかさ、ぶりぶりざえもんって直球で深いこと聞いてくるよね。お助け料100億万円。「キャッシュレスも可」にしたのは時代が変わったからか。
懐かしいキャラクターがたくさんいました。みっちーよしりん、角行スーツのアナウンサー、隣のおばちゃん。懐かしいなぁ。なにのエピソードかわからないけど隣のおばちゃんは羊羹を薄く切るそうです。
今作関係ないけどマカオとジョマは今でも愛してる。
・最後に
そろそろ2000文字になるからこの辺にしとくか。あの、まじで今作は見てほしいです。クレしん映画はロボとーちゃんとか、雲谷斎とか、ブリブリ王国とか、ヘンダーランドとか、オトナ帝国とか、感動モノが多いですけど今作はずば抜けて良いです。5回だよ、5回。僕が1つの映画で5回泣くなんてことありえないんだから。
子供アニメと侮るなかれ。20代も30代も40代も、ターゲット層に含まれています。
やっぱり僕らって成長して、オトナになったじゃないですか。その過程で失ったものって多いと思うんです。それらを失わなければ僕らはオトナになれなかったはずだし。でも今作のクレしん映画を見ることで、ぽっと何か思い出した気がしたんです。何が大切なのかなぁって。何を失ったのかなぁって。
その失ったものを今からもう一度拾っても手遅れではないんだよっていう、そんな気がしました。
僕はクレしん映画の中で、今作は最高傑作だと思います。