昭和63年、昭和64年、そして平成1年。
この年に生まれてきた僕は「ゆとり」だとか「過渡期」だとか、そういった今までとは違う異質なものをとりあえず与えられ「こいつらどうするかな」と当時の大人たちに観察されてきた世代である。いや、大人たちは大人たちでなにか新しいことが起きるのを期待していたのかもしれない。
不景気と価値観の違う子ども。そして流行るV系とオカルト番組。降りかかる天変地異。欧米式価値観が破綻し、大国に追従してきた国は舵取りを誤る。
まさに世も末。世紀末。そんな時代「平成」が終わるのです。終わってしまう。
ちょっとまて、なんでこんな書き出しになるんだ。
内容はあれです。平成最後の夏なのだからやりたいことをしようじゃないかって、それだけの話。
もっと言えば、今年の夏は暑いので土曜日くらいはゆっくり湯治でもしてリフレッシュして、また仕事頑張ろうって思えるように、そういう時間を過ごそうって思った、だたそれだけの話です。
ぜんぜん社会風刺をしたいわけじゃないし、温泉いってラーメン食べてきたら美味しかった!ってだけの話ですよ。うふふ。なんだこのテンション。
というわけでキメてきました日帰り温泉。土曜日の午後をまったり過ごすこの幸せよ。
思い立ったら吉日。宇多田ヒカルと椎名林檎の曲「二時間だけのバカンス」のノリで
忙しいからこそたまに、息抜きしましょうよいっそ派手に。
って感じでエスケープしてきたんです。楽しみはすこしずつ。
土曜日。午前中は仕事しなきゃいけなかったので半ドンってやつをキメて、一旦帰宅。GEOで借りた浦安鉄筋家族10冊を抱えて山の方へ向かったのでした。
到着。場所はあえて伏せるけど、地元のおじちゃんおばちゃんたちがまったり週末を過ごすくらいゆるくて落ち着いた銭湯です。
入館料を払って、お風呂行く前に大広間チェック。
毛布と座布団がおいてあるので勝手に使って良い田舎システム。僕、やっぱり性善説を信じたい。漫画をよみふけるおばさん、缶ビール放置して昼寝してるおじちゃん、迷惑にならない程度におしゃべりするおばあちゃんたち。TVはもちろんNHK。
ハッハー!ここが我が理想郷桃源郷!知り合いが誰も居ない!それぞれが勝手に過ごしている!
中山間のど田舎銭湯の大広間が都会の縮図を成す逆説!
みんながやりたいことやってるこの空間(大広間)こそ僕の理想の場所なのです!
まずはお風呂、午前中しっかり仕事したのでまずは身をきれいにして。
お風呂は沸かした鉱泉が2つありました。温泉と鉱泉の違いって何かしら。日焼けと汗でちょっとかゆくなった首のうしろへ効能が染み込むようにしっかり浸かりました。
田舎のお風呂って男子風呂はだいたい外から丸見えだよね。癖(へき)なのかわからないけど、僕はそういう「見える」お風呂へ行くと仁王立ちしたくなる衝動に駆られるます。分かる人いませんか。
この日も遠くに見える上越市街へ向けて腰に手を当てたさ。(全裸で)
お風呂が終わったら食堂へ。写真の通りビール!ビール!冷えてるぞ!
ネットで調べたらこの銭湯の食堂は結構ラインナップがしっかりしていて、おつまみとか食事が充実している、とのことだったんだけどこの日は宴会が入っているらしく
そば、うどん、ラーメン、カレー、とつまみ系はもつ煮、冷奴、枝豆。くらい。
全然いいです。いやむしろこれで良い。選ばなくて良いんだもの。
持ち込んだ浦安鉄筋家族で腹を抱えながら、だらだらと昼酒を楽しむ。チョイスはモツ煮。(見た目は冷食っぽいけど)ラーメン系の出汁の香りがするなかなかの品。くたくたの根菜とモツの上に添えられた刻みネギが美味しい。
しかし浦安鉄筋家族、絵柄は変わったけどギャグのセンスとネタは昔からかわらないな!最高だぜ浜岡先生。小鉄クラスに新しいキャラが登場してて一層厚みがでている。ノムさんと佐渡ちゃんかわいい!
稲川ジューンと刃牙のパロ最高。青田くんも好きだし、変態笛吹きおじさんが小鉄の笛吹いたら御大、ジャイアント馬場が駆けつける設定がまだあって嬉しかったぞ。
仁ママが舟盛りのお刺身追いかけて海へ行く話と、春巻きが高速道路で生活する話は未だに好き。
ビール片手にエフッ!エフッ!と笑いながら締めのラーメン食べてお腹いっぱい。
チャーシュー麺だねこれ。おいしかった。(これも冷食っぽ見た目だけど)あっさりしててハマグリっぽい和風の上品な出汁の香りがしました。チャーシューは完全に出来合いだね。なんでナルトがこんなにひん曲がって、反り返っているのかわからないけれど味は確か。おいしいラーメンです。何度も言うけど出汁が良い。
大盛りチョイスは心に余裕がない証拠。この日は自然と普通盛りチョイスだったもの。それだけ満足していたのさ。
食堂をあとに大広間へ。相変わらずみなさん自由だ。ビールとラーメンでちょっと火照ったのでクーラーの近くのスペースへ。涼しい。少し横になる。
大広間の窓は大きくて、窓際でなくても空がよく見える。
仕事中は憎たらしいほどの暑さと日差しのこの空も、こうやってクーラーが効いている部屋でお風呂上がりに見上げると、とても夏らしい透き通った水色をしている。絵に描いたような水色にまっ白な雲が動いている。
山の緑も深く鮮やかな色をしていて、なんだか「上越の山だ!」と思うのです。
昔、ドライブ好きのおじいちゃんが教えてくれたのだけど、「夏になると妙高とか上越の山が深い色になるのは、冬にたっぷり雪が降るから。関東とか南の方はこんな色にならないよ」だそうです。
そんなことを思い出しながらちょっと眠くなった。「この心地よさを記憶に留めよう」と、Twitter更新してそのまま昼寝。いや、今日のこれはシエスタだ。
ネットのコピペで「お金を稼いだら釣りをして奥さんとシエスタして...」っていうのがあって、(このコピペはとても皮肉っぽいのだけど)「シエスタってなんだ?」と思って調べてから、僕はこのシエスタという文化がとても好きになった。
要するにお昼寝。本当は南ヨーロッパの暑い地域で、昼食後に木陰で椅子に座って少しウトウトする程度の昼寝のことを言うそうです。
そういえば建設現場で働く僕らも毎日、昼食後にお昼寝をする。お昼寝すると心と体がリセットされて午後からまた頑張れるような気持ちになるんです。
でも、僕が日常的にやっているのはお昼寝。仕事のためのコンディション調整であって、休日に日帰り銭湯でやるこのシエスタにはもっと違う意味を持たせたいのです。
「開放感」と「心地よさ」がプラスされなければ、お昼寝はシエスタになりえない!のです。
このあと、ごろごろだらだらしながら夕暮れまで過ごして帰路へ。
とても大きな虹が見えました。
僕ら、毎日頑張ってると思うんです。仕事では理不尽なことが多いし、うまくいかないことが本当に多い。自分の支配下にあるはずの感情もコントロールしきれないくらいのストレスが迫っていて、気がついたら心が参ってて。いざ時間ができたときに自分の満足する時間を過ごすことができない、そのくらい参ってたりする。
それは僕が僕の価値観で動いているんじゃなくて、誰かに刷り込まれた(あるいは期待されていた)価値観で動くことで応えようとしているんだと思う。仕事なんかそうじゃないですか。自分の価値観とは違う物差し押し付けられて、それをクリアして仕事を進めている。
なので、たまには「果たして自分はどんな時間を過ごしたいんだ」って考えて、振り返ったときに自分の納得する時間の過ごし方をしてみるのです。今回の僕はそうでした。自分の納得する時間だから、空の青さと地下水の冷たさにさえ感動するくらい心が開放された。そんな気分になるんです。
やりたいことをやろうじゃないか。平成最後を言い訳にいろいろ遊ぼうと思います。