よねろぐ!

新潟県上越市で活動中のサポートドラマー。音楽から超どうでも良いことまで幅広くカバー。美味しいものはすこしだけ。

秋の夜長にオススメの本を紹介するぜ!

が好きなんです。

1日が終わるのが早くなって、空気が冷たくなってきて、稲刈りが終わってちょっと焦げ臭いような香りが風に乗って、スズムシの優しい音が夜を包む。

なんだかちょっとエモーショナルでノスタルジックでメランコリックな感覚に包まれる時期。

「秋の夜長」なんてやっぱり先人は上手いことを言うなぁと思うし、感性というのでしょうか、第六感というと大げさだけど、とにかく身体のセンサーが敏感になってくるような気がする季節。実際この時期に聴く曲ってちょっと切ない空気流れてると思う。そりゃご飯も美味しいわけだ。

そんな時期にオススメしたい本をストーリーを思い出しながら紹介したいと思います。

 

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

 

沢木耕太郎著。「地球の歩き方リアル版」「全バックパッカーのバイブル」の異名を持つヒット作です。沢木耕太郎さんの文章って文学的なまどろっこしさがなくて、さくっと読めてさくっとイメージできるのでとても好きです。全6巻ですが1冊が薄めで読みやすいです。大宮駅の本屋さんで買ったのかな。1冊買ってハマってすぐ買い足しました。

沢木さんは色眼鏡のない作家さんだと思います。世界を巡っても偏りとかなくて、体験したことと感じたことをそのまま文章にしてる感じ。良いとか悪いとか、そういうのじゃなくて、そのままの体験記。

日本を出発して、香港の都会の喧騒からマレーシア・シンガポールのゆったりした空気感、中央アジアの閑散とした砂漠を抜けて現代的な地中海とヨーロッパに出てきた時の安堵感と物価の高さに読者も驚く、といった感じ。ホントに陸路で抜けちゃったよ。

途中登場する日本人の旅人だったり現地のおせっかいおじさん、優しい学生と意地悪な詐欺師、などなど。沢木さんが体験したトラブルに自分も入り込めます。

JR東日本新幹線に刺さってる雑誌で沢木さんのコラムを発見したときは心が踊りました。大沢たかおさん主演のドラマも良いですよ。ED曲は井上陽水の「積み荷のない船」でゆらゆらと切ない曲がマッチしててこれもまた好き。

とにかく大好きな本でオススメ。何度でも読める。

 

全日本食えば食える図鑑 (新潮文庫)

全日本食えば食える図鑑 (新潮文庫)

 

 椎名誠著。「岳物語」の一部が国語の教科書に載ってて、読みやすくてずっと覚えていた椎名誠さん。大学生になって岳物語を全部読んだ後、次に手を出したのがこれ。

日本中の「え、これ食えるの?」な郷土料理や生き物を椎名さんが体当たりで食べていく体験記。特殊な生き物、特殊な食べ物を捕獲したり調理したりの過程がコミカルで面白いです。表紙のヤシガニは確かミソをお蕎麦のツユに溶かして食べていたような。カニ味噌みたいで美味いらしい。

椎名誠さんは他にも「白い手」が好きです。

 

白い手 (集英社文庫)

白い手 (集英社文庫)

 

 こちらは少年主人公が友達と遊んでいるときに見える家から「白い手」が見え隠れした事から興味をもち、家のこと、白い手のことがだんだんわかってくる、という青春ストーリー。あー、子供の時の恋心ってこんなきっかけで芽生えたんだったかなぁと懐かしい気持ちになります。あと少年たちの遊び方の描写も椎名誠さんらしく懐かしさがあります。読むのにストレス感じない。

 

  •  内蔵とこころ
内臓とこころ (河出文庫)

内臓とこころ (河出文庫)

 

 

解剖学者 三木成夫さんの講演がベースになった書籍。ちょっとグロめの表紙とは裏腹、僕らが大人になる過程において身体と心の密接な関係をわかりやすく暴いていきます。講演がベースなので、表現も難しくなく、ところどころジョークを挟んで(会場笑い)

表記があるくらいフランクな構成。でもやっぱり解剖学の専門用語とか注釈とかあるので少し気合い入れて読んだほうが良いかも。読み解いていくと「成程なぁ」と思うこと多数。身体の不調とか、コンディションの不調の原因にたどり着けるかも。自分の身体に秘められた「内蔵意識」との対話の世界が広がります。

 

火天の城 (文春文庫)

火天の城 (文春文庫)

 

 山本兼一著。西田敏行さん主演で映画にもなりました。

戦国時代のスーパースター織田信長の配下で宮大工として活躍した岡部又右衛門が「安土城」築城に挑むお話。映画ではいろいろカットされたり演出が変わっていたりしますが、当時の宮大工は要衝に砦を築くために行軍や遠征にも参加して、時には槍を持つこともあったそうです。

岡部又右衛門のひたむきな態度に感動するなぁ。それとお上からの急な設計変更。現場大慌て。いつの時代も変わらないじゃないか。

ちょっと調べたら岡部又右衛門、信長の野望(天道)に武将として登場してるんですね。シランカッタ。

映画もテンポよく見所がまとまっていて、とてもよい出来です。福田沙紀がとてもかわいい。織田信長役に椎名桔平は大河越えレベルの適役。この頃の山本太郎は素晴らしい役者さんだった...。

よねじの中では「火天の城」と「のぼうの城」を二大戦国城映画と勝手に名付けています。

 

父 山本五十六 (朝日文庫)

父 山本五十六 (朝日文庫)

 

 長岡生まれの旧海軍大将 山本五十六のご子息、山本正義さん著。戦後、反省を込めて愚将だの名将だの、まぁいろんな話がありますがそれは置いといて、この本では「山本五十六の家庭での姿」を正義さんの目線で描かれています。で、それをもとに役所広司さん主演の映画「連合艦隊司令長官山本五十六」のシーンで盛りだくさん描かれています。家庭でも朗らかな人物だったんだなということが伺えるエピソードたっぷり。

よねじは山本五十六さんとても好きなんです。「やってみせ、言って聞かせて~」は並の人間では思いつかないだろうし、当時戦略的に見向きもされていなかった(らしい)航空機に着目して、左遷先で部下を鍛えていた先見性、とか。戦死してしまった部下の名前を記した手帳を夜な夜な開いて見つめる時間が毎日あった、とか。

ライトな書籍ではないですが、歴史の人物を家庭の切り口から覗き見るおもしろさがあります。

 

  • 焚火
焚火

焚火

 

 都内で活動している「BLACK CREEK DRIVE」のvo、アンドウさんこと安藤豊彦さん著。よねじが都内のバンドで活動していた時、別段なんでもないイベントで知り合ったBCDに後から加入したアンドウさん。MCではとてもロックな事を言うし、ちょっと冷たいような雰囲気のある人だなぁと思っていたら、動物が好きなことが発覚したのでアンドウさんにはなんだか興味があったのです。そんなアンドウさんがTwitterで「本を書いた」と呟いたので、この人の内面を見るチャンスと思いすぐ購入、その晩のうちに読みました。

動物好きなだけあって、動物が登場しますが、やっぱりなんだか冷たさ、というか冷静さがあります。淡々と、こういうことがあってこう思ってこうした、ということが淡々と。でも別の場面の出来事なのに、実は同じ街で起きていて、クロスしたりして面白みがあります。

1つのストーリーのボリュームが少なめで余計なことが描いてなくて、スッキリした文章で読みやすいです。平坦な中にちょっとだけ輝く、きらめく技法が入っていて素敵。

(※アンドウさんBLACK CREEK DRIVE脱退してました笑

 二作目もあるそうなので乞うご期待!)

 

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

 

 小野不由美さん著の大作。楽俊かわいいよ楽俊!アニメから入ったのですが原作もとても良いです。世界観の作り込みが素晴らしい。行き当たりばったり感がない。この人の頭のなかに完全に世界が作り込まれてて育まれてる、はず。このラノベ、只者ではない。(ラノベじゃななくてハイファンタジーというらしい)

国の体制、政務官の配置、外交関係、世界の仕組み、等々、よくここまで考え抜かれたものだと思います。スケールの大きさがすごい。本だと名前とか地名とか、固有のものが漢字なのでちゃんと覚えてないと「こいつ、なんて読むんだっけ」ってなる。当時中学生のよねじには早すぎた作品。今でも読めなかったりする。

著者絶対三国志とか好きだと思う。

王の政治が荒れると国も荒れる(物理)を地で行く設定はとても好きです。その中で、12の国のうち「この国の王はこうやって国を富ませて、この国の王はこんな事して国を荒らす(結果自分も失脚する)」みたいな、そんな話。

アニメは安定のNHKですので作画はすごく良かったりすごくアレだったりな回がたくさんありますが、やっぱり楽俊がかわいいんだぁ!OP、EDも良かった。

この秋だけで全部読むのは無理だと思います。長いので。

シリーズの中でやっぱり慶国の話、「月の影 影の海」が好きです。次点で王と麒麟の強い絆を感じる「東の海神 西の滄海」。

いかんせん漢字が多いのでちょっと読むの遅くなりますが、じっくり読んでじっくり感動してほしいと思います。

 

 

全然書き足りないぜ!

もっともっと紹介したいのですが今日はこのへんで。